知らぬ間にもらった宝物
実は、先日、ある邦画を観ました。
面白い映画ではありました。
だけど、とある場面で・・・「ん?」と引っかかっり
今ひとつ 本気で面白がれない自分がいました
だって・・・殿様が・・・
畳の縁を 平気で普通に踏んでいたからです。
他の武士たちも まったく気にせず 踏みまくり。
あれ?いいんかい?踏んではいかんのじゃ?
と言うか、
あの時代なら それって常識じゃないのか?
若い役者さんが知らないとしても
監督さんは・・・知らない?そんなぁ・・・
これは常識ではなかったのか?私の思い込み?
畳の縁を踏んで歩いたり
襖の下の敷居とか、玄関の敷居とか・・・
あれ、踏んだら怒られませんでしたか?
私は・・・「行儀が悪か!」と祖父や祖母に怒られ、
足を叩かれました、思いっきり
意味は解りませんでしたが
ある日 祖母が玄関の敷居を 固く絞った雑巾で
丁寧に丁寧に拭いており・・・で、こう言いました。
「お客様がお出でになる処やけんね、
気持ちよく お迎えする大事な場所やけん」
畳の縁も それはそれは丁寧に乾拭きしてました。
意味はよく解からずとも、子供心に
「へりは踏んではいかん。敷居はまたぐもの」
ずっと そう思ってきました。
映画を観たあと、どうも気になって調べてみました。
『なるほどそういう意味だったのか』
あーだから布団をああやって敷いてたのかぁ。
(布団も縁の上には架かってませんでしたわ)
うん・・・やっぱり アレはおかしい。
殿様や武士なら ますますおかしい。絶対おかしい。
そうそう・・・想いだしました。
狭い部屋で相撲を見てた祖父の枕元(頭の方)
そこを 普通に通った小学一年の私は
すごい勢いで足をはたかれました、祖父に。
「人の頭の上を 通るとはなんじゃッ!」
「足元を静かに通るのが礼儀じゃッ!馬鹿者!」
あの当時は さっぱり解かりませんでした。
ゴロンと寝そべる祖父の足元を歩くとなれば
ぐるりと回り込まなきゃならなかった幼き私。
が・・・ぐるりと回り込むべきだったようです。
ともかく、二度とあんな風に怒られたくなかったし
あんな痛い目に合いたくなかったから・・・
自然に 気をつけるようになりました。
今は 叩くという行為は体罰のように感じますが
私の場合は《身体で覚えた》事が役立っています。
今時は 畳の生活が少なくなったし
昔ながらの日本家屋もあまり無いので
頭の上を歩いちゃいかんとか、敷居だの縁だの、
人々の思考や常識の中では皆無なのでしょう。
「いいとか、悪いとか」考える事もないのでしょうね。
だけど、私は改めて
あの厳しかった祖父や祖母に感謝しています。
知らぬ間に礼儀や作法という宝物を貰ってた事に。
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コメント
そういうお話、素敵ですね。
私も畳のヘリや敷居の上は立ってはいけないと躾けられたのを思い出します。
枕を踏んではいけないとか、物をまたいではいけないとかも。
残念ながら自分は独身なので、伝えていきたいと思っても教えるべき子供がいないんですが…。
投稿: ごんべ | 2016年6月 5日 (日) 21時14分