まだまだヒヨッコ
《愛しきは》でご一緒した松岡さんがご出演の
この《ぬけがら》というお芝居。
新作なのかと思ってたら 結構昔からあった本。
面白い着想の舞台を楽しませてもらった。
なにより八十をとうに越えた松岡さんの元気に
ビックリするやら 感心するやら。
終演後「明日はマチネーだから」と仰りながら
チビチビと一杯の焼酎のお湯割りを飲みながら
芝居談義に花が咲く。
芝居をこよなく愛し 熱く語る松岡さん 素敵だ。
もう一本拝見した 文化座《命どぅ宝》
1950年以前から始まる戦後の沖縄が舞台。
私は1954年生まれだから
舞台で起こる様々な出来事と
自分の生きてきた時間をリンクしてしまう。
学校で 沖縄の返還の事など学んだはずだが
結局 真実は知らされぬままだったのか
あえて 知らされてなかったのかもしれない。
私がのほほ~んと暮していた時代に
沖縄の人々はこんな苦労を強いられてたのか
伊江島に暮すひとりの農民 阿波根昌鴻と
沖縄返還に人生をかけた瀬長亀次郎の二人が
この作品の主軸となるのだが
非暴力の地道なそのたたかいに
私は 何度も涙が溢れてくる。
文化座さんも 七十五周年なんだそうだ。
中高校時代には よくこの劇団の舞台を観てた。
主宰の佐々木愛さんが愛らしかった。
(愛らしいって私よりもちろんお姉さんなのだけど)
昨日の舞台の愛さん、お歳は召したとはいえ
その 舞台にかけるエネルギーが半端じゃない。
そして お若い時より ずっとずっと魅力的だ。
七十五周年の劇団を引っ張って来られたのだが
きっと若い俳優たちにはもちろんの事
自分にも厳しく生きてこられたに違いない。
芸というもの 作品づくりというものに
真摯に取り組み 丁寧な舞台を届けることに
ご自分の人生を捧げているように思えた。
常に 善き作品というのはそういうものなんだけど
当然 客席は満杯。やはりお客様はよく知ってる。
無理矢理とった私の席は身体を斜めにしないと
見えない隅っこの席だったのだけど
劇場じゅうに その祈りが、その情熱が充満する
とても素晴しい時間だった。
佐々木愛さん、松岡さん、
どちらも 長きにわたり芝居に命をかける大先輩。
六十そこそこで「疲れた」とか「休みたい」とか
そんな弱音を吐いてちゃダメだぞッと自分に喝ッ。
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