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2017年5月 6日 (土)

芝居の虫

昨夜 せいこが 夢の中に現れた。

まるで 現実に起こってる事が嘘のように

若き日のふたりは、時に笑い、時に討論してた。

もちろん 中身は芝居の話。延々と芝居の話。

夢の会話は あんまり覚えていないのだけど

芝居の話しかしなかった彼女が一度だけ呟いた

女としてのあの言葉だけが 今 鮮明に浮かぶ。

 

「二度も結婚したら アタシゃ怒るからねぇ~」

もちろん 本気で言ってるわけじゃないのだけど、

彼女に言わせると

「アンタは人生を思う存分楽しんでる。

アタシゃ あんたに二周半も遅れてるんだから」

「二周半ってナニさ?」

「いっぱい恋愛して、結婚して離婚して

それでもまだ懲りずに男に惚れて。

そんでもって 舞台も散々やって。

アタシにゃそんな芸当は出来ない。二周半遅れ

 

結局 二周半という計算はよく分からなかったけど

芝居の虫、ひたすら芝居一筋の人生で、

結婚も出産もしなかったせいこの独特な計算法。

 

大阪の地で 一人娘として この世に生を受け

「演劇が飯より好き」が高じて上京。

大学で演劇を学び、私が研究所に入所の年、

ミュージカルのオーディションで四季に入団。

いつから、どんなキッカケから仲良くなったのか

あまりに遠い日の事で忘れてしまったが、

気づいたら いつもどこかで芝居の話をしてた二人。

彼女はホントによく勉強してた。

本当に、私が恥ずかしくなるほど よく知ってた。

難しい話になると ほとんど聞き手になってた私。

解らない事を「どういう意味?」と素直に聞けた

唯一の人だったかも知れない。

 

今 マグノリアの稽古をしていると

ふと せいこを想い出してしまう。

井上加奈子さん演じるウィザーと

私が演じるクレイリーは

小さな町に生れ、幼馴染で齢をとった今も親友同士。

お互いに遠慮会釈なく 言いたい放題の二人だが

心は すごく温かい 強い絆で結ばれている。

「あなたを愛してるって知ってるわよね」

「よく言うわ。あんたこそ長生きするわよ」という

最後の台詞を喋ったら、突然涙が溢れてしまった。

 

通夜にも葬儀にも参列できないけれど

きっと こうして私が稽古に励む事が

なによりも舞台が好きだったせいこの供養になる。

そう信じてる。

 

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友達でいてくれて

同じ時代に生きられて

晶子。。。本当に ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント

もしかしたらと思っていたのですが、藤田さんだったのですね‥。
ジーザスクライストスーパースターを観た時、
群衆の中にいらっしゃる藤田さんに惹きつけられ、
気がついたらいつも藤田さんを目で追っていました。
本当に素晴らしかった。
ずいぶん前、四季を退団され関西に戻られる時に末次さんのお宅に来られ、帰り際に玄関先で藤田さんがポーズをさりげなく取られたスナップをブログで拝見した時「わーさすが!かっこいい〜!」と感激したのを覚えています。
本当に残念です。
ご冥福をお祈りいたします。

投稿: らん | 2017年5月 6日 (土) 14時25分

38年前、高校生の私が初めて観た大人の舞台がジーザスだった。セット、役者さんのエネルギーや歌声に衝撃を受けた。中でも、藤田さんの存在感と迫力のある声に惹きつけられた。他には、藤田さんのトリバー(人間になりたがった猫)が大好きだったな。
舞台の数々をありがとうございました。
ご冥福をお祈りします。

投稿: hide | 2017年5月 7日 (日) 11時58分

やはり、そうだったんですね
藤田晶子さんを初拝見したのは大阪MBS劇場のキャッツのジェニエニドッツ(2001年頃)観客に向かって、ほらお前だ!みたいな指差し確認が記憶に残っています。あとは、エルコスの祈りのダニエラ(2003頃)でした。

投稿: new(^^)/ | 2017年5月 7日 (日) 16時00分

P.S.)
ダンスオブハーツさんのページに、追憶コンテンツが出ていました

投稿: new(^^)/ | 2017年5月 7日 (日) 16時03分

昨日知って本当にビックリしました。
人の命の儚さと尊さを、このところ身を持って感じさせられます。
故人の分までなんておこがましい事は言えないけれど、せめて与えられたこの期限を精一杯過ごさなければと思います。

合掌

ミサさん、お稽古見学に伺いたいですm(__)m

投稿: OMI | 2017年5月 8日 (月) 11時42分

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